7人の背中に、私は無限の夢をみる。

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Wake Up, Girls!の9thシングル スキノスキルって曲、好きなんですよね私。
皆さんは、どうですか?

振り付けや衣装、歌詞、曲調、どれを取っても良い所だらけで挙げるとキリが無いと思うのですが、

あえて私が挙げるとすれば、歌詞の中から

闘う時の 背中はまるで 鋭い翼ね

近づけない でもそばに

熱い視線は 私ではなく 遠くをみつめる

ここのフレーズです。
えっ歌詞なら、

完結してたはずの世界を 変えてゆけるんだね

とか

どこかでファンタジーと思っているのでしょう?

でしょ!
分かります。WUGちゃんのこれまでの境遇や異世界もののタイアップ曲という側面などを見てもそこも大好きです。
でもあえて、この箇所を挙げました。理由は後で、

1.背中。

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ちょっと話を変えて、「洞窟の比喩」ってご存知ですか?
洞窟の比喩 - Wikipedia
古代ギリシアの哲学者プラトンさんの『国家』と言う本の中で、有名なソクラテスさんが国を治める統治者のあり方の中で出した三つの例え話のうちの一つなのですが、
ディアレクティケーとか四つの認識とかを無視をして、

人間は皆、洞窟の中で、壁の方を向いて手足を縛られて座っている。
私たちは太陽からの光を受けて、映り出す様々な物や動物、自分自身の影を見ているという状況なのだ。という例えです。

『国家』では、それは間違った状態でペリアゴーゲー(魂の向け変え)=教育をして、眩しいけど太陽(善のイデア)を見させる統治者が必要だよねーって話だった思いますが、違っていたらご指摘下さい。

言いたいのは、
紀元前から人間は本質そのものではなく、本質によって映る影や偶像(形取った像)を見て現実だと思い込んでいると言う指摘です。

2.偶像。

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白木「常に言ってますよね。君たちは人間である前にアイドルなんです。」

島田「いいえ、私たちはアイドルである前に人間です。」

(Wake Up, Girls! 第9話「ここで生きる」より)

名セリフですよね。
白木さん。
はい、ここではまゆしぃじゃなくて白木さんのセリフです。
「人間である前にアイドル」
か弱い少女達の人間性を否定している様な言葉ですが、
アイドル(idol)の語源は、元来偶像と言う意味。

早坂「白木さん、Vドルと人間のアイドルとの違いは何だと思います?」

白木「アイドルとは偶像だ。どちらも相違はない。」

早坂「確かに、ただし人間の場合、一進一退して思惑通りには動かない。なのに彼女達は時に軽々とこちらの予想を越えていく。そこが堪らなく面白いと思いませんか?」

(Wake Up, Girls! 新章 第13話「明るい方へ」より)

アイドル偶像論。
アイドルは人間でも本質でもないんです。その意味を白木 徹は初めから貫いている。

島田 真夢は、ひいてはアニメWake Up, Girls!は、アイドルは偶像である事から脱却を目指し、アイドルは人間性や偶然性を持った物語である。
という事を証明しようとしたお話だけれども、実はこの結論には少しスパイスを加えた形の答えを出して終わったのですが、後でちょっとだけ語ります。詳しくは、いつかアニメ語りの時に。
(1期、2期で描き切れなかった初めのテーマのアンサーが、新章の役割ですね。)
(人間と人間での対比では、中々このお話に答えを出すのは難しいですから→Vドルの役割[人間と機械という単純な話だけではないです。])

アイドルの語源も、古代ギリシアプラトンさんやその弟子のアリストテレスさんの、エイドス(形相)やイデア論に繋がるんだけど、それは誰かにお任せします。
ってか、ありそうだよね。現代のアイドルとギリシア哲学についての論文とか。

まぁいいんです、詰まる所。
現代でも人間はアイドルという偶像を見て、現実だと思い込みその先にある「何か」を想起するのですよ。

そして、一方でアイドル達自身もまた人間であり、「何か」に向かって走っている。

3.偶像。

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2017年12月10日(日) Wake Up, Girls!Festa.2017 TRINITY 幕張メッセ 国際展示場
2018年5月12日(土) Green Leaves Fes 幕張メッセ 幕張イベントホール
こちらの両公演に参加したのですが、私は強く印象的に残った光景があります。
それは、会場の壁に映った踊る出演者たちです。

(↓BD WUG新章 第7巻の特典映像にてWake Up, Girls!Festa.2017 TRINITYが観れるので、、、ってこれを読んでいる人は持っていますよね勿論)
Wake Up, Girls! 総合公式サイト|WUGポータル

会場の設備とか知識は無いのですが、ステージの両サイドにコンクリートの壁があり、
そこに、ステージ上で歌って踊る彼女達が照明によって大きく影となって照らし映し出されるです。
時には、目の前のステージではなく、そのコンクリートの壁を見てブレードを振るほどでした。

WUGフェス 影 - Twitter検索
グリフェス 影 - Twitter検索
↑押して見てください。
Twitterで検索をしても同様に、目を惹かれた方がいた様です。

とても興味深いなと思ったわけです。
仮に、ステージ上に立つ人が本物=本質だとすると、私は本質が照らされて映る影を見て、感動している。
さっきの「洞窟の比喩」みたいですね。

また同時に、目をもとのステージに向けて、
ステージ上に立つ人物をアイドルと呼ぶならば、アイドルに相対した時も又
私が見ているのは本質を模した偶像に過ぎないという事を。

2つの見方はどちらにせよ同じで、現代でも影や偶像を見て現実だと信じてやまない自分がいるのです。2の最後。

WUG新章の中で彼女達が出した答えの一つは、とても簡単なものでありふれたものでした。
だが同時に難しく、ステージの上から降りてアイドル自身も観客と同じ目線になる事の実践の結論。
私はそれを地下アイドル、ご当地アイドル的だと思い、声優ユニットWake Up, Girls!もまた同じ結論出したのだと思っています。
そんな、アイドルと観客という構造を曖昧しようと、共に手を繋ぎ同じ幸せを分かち合う人間だ、と。(→三幸論へ)

4.影と偶像。

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少し、話がアニメに逸れました。
3の最後、アイドル達自身もまた人間であり、「何か」に向かって走っている。という所を。
その「何か」は、古代ギリシアの紀元前から不動に夜空に輝く「Polaris」かも知れません。

声優ユニットWake Up, Girls!の7人が作詞し、MONACA田中秀和様が作曲編曲した「Polaris」。
www.youtube.com

神曲ですね。
(MVまだー?)

Polaris」が具体的に何を指すのか?彼女達7人の事なのか?私たちの事なのか?それとも別の何かなのか?は解釈は多様ですが、
作詞家の7人が、そこは聴いている人に委ねる所がまた良しですね。

↓曲を聴いた上でこの記事は、良ければ必ず読んでください。
www.animatetimes.com

次は振り付けについて。
(両手で踊れるヘッドセットでのPolarisが、フルで映像化するのは現時点ではまだなのですが。早くしてくれー)
(アニメでは再現されているので、新章第13話を観てね。)

なんといっても、私的注目ポイントは曲の間奏で円、円陣、輪になった7人の振り付けですね。
Polaris 円陣 - Twitter検索
Polaris 円 - Twitter検索
Polaris 輪 - Twitter検索
Twitter上のみなさんの呟きも見てみてください。


ステージの上に立つ7人が、観客に見せるダンスを辞め背中を向け、顔を合わせ円になって踊る。
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(Wake Up, Girls! 新章 第13話「明るい方へ」より)

この瞬間、7人以外の一切合切が、入り込む隙などが無い7人だけの不可侵の世界が出現します。
その世界は、7人だけの築き上げてきた信頼や絆、経験、愛情、思いやり、努力などが詰まっているのかも知れません。
言えることは、それは決してネガティブな要素ではなくポジティブなもので溢れているという点です。
そんな素晴らしい世界の一端を、私は有り難くも曲の中で垣間見ることができる。

その光景に、その背中に私は未来への無限大の可能性を感じでしまうのです。

5.偶像と背中。

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遡ってみると、Wake Up, Girls!最初に出されたティザービジュアルも7人が背中を向けた一枚絵でした。
『Wake Up, Girls!』公式サイトが、ついにオープン! | アニメイトタイムズ


2017年11月23日(木・祝)に行われたANIMAX MUSIX 2017 YOKOHAMAでの激!帝国歌撃団をカバーして歌った時も、わざわざ後ろ姿を写した写真がありましたね。


めっちゃ良くないですか?!背中!

今回のお話は、スキノスキル、洞窟、アイドル、偶像、影ときて背中となるわけですが、
その気持ちを凝縮した歌詞が、冒頭のスキノスキルという幻想曲の歌詞なんです。

闘う時の 背中はまるで 鋭い翼ね

近づけない でもそばに

熱い視線は 私ではなく 遠くをみつめる

観察者がいる状況にも関わらず、対象者は認識しない程にどこか違う「何か」に視線を向けている。
そして私は、その背中に過去や現在や未来を乗せて、視線の先の「何か」について想起(アナムネーシス)する。

その状況が、この想像の余地が、私は堪らなく好きなのです。洞窟の中にいようとも。

6.背中。

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そんな壁に映し出される踊る影も、
そんな輪になった内向きなダンスも、
彼女達の並ぶ背中も、
私が良いと思うのは一重に、
声優ユニットWake Up, Girls!の愚直なまでの内向性や極度な内輪性によるのではないかとも思うのです。
この特異な性質というか性格は、7人の生まれ持ったパーソナリティによるのでしょうか?
それとも、デビューから育ってきた環境がそうさせるのでしょうか?
先輩や後輩、周りのグループを見ても強くは感じられないのですが。

彼女らのたくさんの曲の歌詞に反映されている様に、誰にも負けない程の多くの努力や苦労を彼女達は重ねてきたと思っています。
まったくの素人が集められ、お互いにライバル同士だと意識しながらも、一緒にゆっくりと歩みを続けてきた。
数々の見えない苦難があったでしょうし、いまでも拭いきれない気持ちや悔しい思いを抱えているでしょう。
その結果に、7 Sensesの様な7人で一つになる歌やアニメ新章が生まれたとも思っています。
7人が、14人が、キラキラしていて好きでした。新章。勿論、1期2期があってこそです。

その奮励に万雷の拍手を送りたいのですが、一つだった彼女達は止まることなく別つ事を決め7人それぞれの道を歩き出します。

高木「じゃあ、ななみんも22歳だった一年の漢字一文字は?」
山下「何だろうなぁ、うん〜」
高木「結構、難しいよね?」
山下「うん、もう色んな事があったからね」
高木「そうねぇ」
山下「『決』!、あの決断の決!かなぁと、思いました」
高木「確かになぁ、それはあるね」
山下「そう、なんかホントに色んな決断をさ、22歳の一年間はしなきゃいけなかった時期だったから」
高木「うん、そうね」
山下「うん、…(略)」
(Wake Up, Girls!のがんばっぺレディオ! 第118回:2018年9月21日(金)配信より)

HOME TOURの PART Ⅱ FANTASIAは、スキノスキルを中心に幻想的なFF的な?世界が用意されていると聞きました。
(7人が正式ツアー名じゃなく、HOME TOURと毎回言うのは何なんでしょうかね?)

Start It Up,、KADODEに続いてWUG TOURを象徴する3つの表題に"FANTASIA(幻想曲)"を入れた意味、
光や影を使った演出や、困難に対して立ち向かい冒険していく演出、過去を振り返る様な大喜利やコントなど
きっと、彼女達7人だけの素晴らしい幻想的な、内向的な世界観を表現したいのでしょう。
それが、観客にも好まれていると知った上で。

(Start It Up,は、アニメで出した結論と同じ同一視線になる事、「家族」発言、文字通りスタートしていく演出、WUGプロジェクトや震災の想い、そしてその心を忘れない事、など)

そんなFANTASIA、運よく千秋楽のチケットが当たっているので是非この目で焼き付けたいと思います。
行けるのか、個人的事情から不安だけど(お仕事紹介待ってます)

そして、PART Ⅲ KADODEはどんな演出やステージ、7人が待っているのでしょうか?
門出は誰が出発し、誰が祝うのか?
新曲4曲がどんな曲なのかも含めて、ワクワクですね。
個人的な願いとしては、

また、何か書きますね。

7.幻想曲。

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